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活動の記録

11.2022年参議院選挙を振り返って――市民連合あおもりの見解

2022年8月10日
市民連合あおもり幹事会

1. 市民連合あおもりは、7月10日投開票で行われた第26回参議院選挙において、選挙区は前回16年選挙で野党統一候補として勝利した田名部匡代候補(立憲民主党)を支持し、比例区は立憲野党の立憲民主党、日本共産党、社会民主党、れいわ新選組を支持してたたかった。
 選挙結果は、選挙区で現職・田名部候補が27万7009票(得票率53.45%)を獲得し、21万6265票(同41.73%)にとどまった自民党(公明推薦)・斎藤直飛人候補に議席奪還を許さず勝利した。前回8千票差の大接戦から6万票以上の差をつける、大勝利といえる成果となった。
 比例区は、立憲野党の支持率低迷のなか、社民党とれいわ新選組は前進したが、立
憲民主党と共産党がともに後退する残念な結果となった。

2. 今回の参院選は、「市民と野党の共闘」でたたかった過去二回と異なり、全国規模で「野党共闘」が壊された選挙となり、立憲民主党が一人区で議席を大きく後退させ、自民党の躍進を許してしまった。青森県も全国と同じく「野党共闘」が壊され、かろうじて「候補者一本化」した選挙となったが、田名部候補勝因の主な点は以下の2つを指摘することができる。

 第一に、「野党共闘」が壊された最大の原因は、労働組合「連合」本部による共産党排除方針をうけた影響であるが、青森県では共産党と社民党が、田名部議員の6年間の政治姿勢と活動実績を評価・信頼し、「連合」本部の介入を許さない形での「推薦」(社民党)、「自主支援」(共産党)の態度を独自にうちだし、6年前に劣らぬ選挙活動を展開したことにある。これは地方の実情さえ認めない「連合」本部の「排除の論理」を許さない両党県本部の固い決意の表明であった。
 こうした選挙構図は、岸田自公政権に異議を唱える多くの有権者から歓迎され、田名部勝利への勇気となった。東奥日報紙が「立民 事実上の共闘で勝利」「共産自主支援が貢献 連合もてこ入れ図る」の見出しをたてて田名部候補の勝因分析した記事でも裏づけられた。
 第二に、田名部議員の自民党候補を圧倒する知名度と人柄、6年間の国会活動への厚い信頼、県民の願いに寄り添った物価高対策や農漁業政策とともに、「青森県唯一の女性議員」・自民党「一色に染まらない。ダメなものはダメという野党唯一の議席を」という必死の訴えが、自民党支持層を含む党派をこえた有権者の共感と支持をひろげる大きな力となった。

 選挙戦は、”事実上の野党共闘”と、田名部議員の魅力・実績・政策の訴えが一つに結びついて自民党候補に大差をつけて議席を守り抜く威力を発揮した。東奥日報紙の出口調査では田名部候補は立憲野党それぞれの支持層の大半を固めただけでなく、無党派層の71%、自民支持層の29%、公明支持層の39%が田名部候補に投票したなど、各報道機関の出口調査で裏づけられている。

3. 市民連合あおもりは昨秋の衆院選後、「野党共闘」の確立を求め、野党各党と懇談や意見交換をくり返し、3野党協議の開催を要請するなど懸命に努力してきた。
「連合」本部は、市民連合あおもりに対しても田名部候補が市民連合の行事に参加したり、政策合意をすれば「推薦を取り消す」という理不尽な要求をつきつけてきた。
その過程で田名部候補が出席予定の「キックオフ集会」が中止に追いこまれたり、田名部候補と野党県連代表がそろい踏みする「総決起大会」が記念講演だけになる困難に直面したが、「連合」の排除と介入を拒否して「田名部支持」を明らかにし、制約された中でも自主的積極的に奮闘した。
 地域の市民連合は、憲法集会などで立民・共産・社民党代表の出席(田名部候補はメッセージ参加)をえて、草の根の共同行動と信頼関係を深めてきた。
 市民連合あおもりと地域組織は、これらの努力を通して田名部候補と立憲民主・共産・社民の県組織がともに「市民と野党の共闘」を願う胸の内は一致していることを確認してきた。

 選挙本番では、立憲民主党の選対指導部と情報交換を適時おこない、田名部候補の行動予定を事前に連絡をうけ、街頭演説や個人演説会への参加・激励、田名部候補の奮闘をツイッター・フェイスブックなどSNSで宣伝・拡散して行動をよびかけ、「投票率アップ」宣伝や田名部候補の支持拡大などに取りくんだ。
 一方、野党の中でも岸田政権にすり寄る国民民主党、岸田政権に改憲と軍拡をあおる維新の会やNHK党、参政党は支持しない態度を明確にして、ツイッターで落選運動を呼びかけるなど、立憲野党の比例前進のために奮闘してきた。

4. 全国的な選挙結果は、立憲野党が全体として後退し、改憲勢力に改憲発議が可能となる議席を与えたが、自民党の茂木幹事長は選挙後、野党が32の一人区で候補者を一本化し、自民党と一騎打ちとなっていた場合は、「(自民の)22勝10敗」だったとの試算をしめした。ここには現在の選挙制度のもとでは「野党の共闘・市民との共同」こそが立憲野党にとって勝利の大道であることを確認できる教訓がある。

 次期衆院選、参院選は、今回のような「共闘なき・候補一本化」程度では青森県の衆院小選挙区で自民党の一角を崩すことも、参院選挙区で新たな議席を獲得することも困難である。市民連合あおもりは、立憲野党に対して「排除と分断」を克服した「共闘」を再構築するよう要望する。そして各野党の県組織と「連合」本部の選挙総括を注視し、とくに野党第一党の立憲民主党には「連合」との支持関係を「市民と野党の共闘」に持ち込まない態度を明確にするよう期待したい。

 各紙世論調査は、有権者が参院選挙に求めたものは物価高対策や賃上げ、社会保障の充実が絶対多数であり、反対に9条改憲を求める声は少数しかなかった。選挙後の調査でも共同通信は「改憲は急ぐべきでない」が6割近くになり、地方紙独自の調査でも「改憲反対」が過半数を超える回答が幾つもでている事実は、岸田政権に改憲を「白紙委任」していないことは明らかである。
 立憲野党にとっては困難なたたかいに直面するが、岸田政権が9条改憲の動きにでれば国民の激しい抵抗にあうことは間違いない。改憲勢力の思惑を挫折させる力は、立憲野党の国会論戦と、国民世論・運動の発展にかかっている。市民連合あおもりはその一翼を担って全力で奮闘する。

 市民連合あおもりは、次の国政選挙での前進のために19年参院選で経験した「市民と野党の共闘」(=野党間の政策合意、市民連合あおもりと候補者の政策協定など)を上回る発展めざして野党各党との信頼関係を豊かに発展させ、系統的な努力を開始する。また、地域市民連合づくりを各地にひろげ、「市民と市民をつなぐ」運動を草の根から起こせる課題に挑戦する。

 

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